タブレット・スマートフォンなどへの手書き署名は法的に有効か
電子署名法が規定する「電子署名」は、「公開鍵暗号方式」とよばれるデジタル署名方式を前提とするもので、スクリーン上に手書きで電子サインをしただけでは、電子署名としての法的効力はありません。しかし、基準を満たせば手書きの電子サインでも法的効力を持ちます。
手書きの電子サインを法的に有効にするためには、署名者認証(パスワード・ID・電話認証など)、タイムスタンプなどの電子サインをした日付や時刻の記録などが必要となります。
手書きの電子サインでも証拠力がある事例があります。メガバンクの1つである三井住友銀行の例が挙げられます。
三井住友銀行で実際に導入されている電子サインは、筆圧や距離、方向などから本人確認ができるテクノロジーが用いられており、すでの現場で実用化されています。ただし、専門的な端末やシステムが必要であり、導入のハードルは高めです。
手書きサインを電子データ化する方法
手書き署名の写真を撮って切り抜く
タイムスタンプなどの認証が必要のない手書きの電子サインでよいのであれば、紙に書いたサインを撮影して切り抜くことで簡単に作成が可能です。
まず紙とペンを用意し、手書きのサインを書きます。続いて写真をスマートフォンやデジカメなどで撮影し、パソコンまたはスマートフォンなどに取り込みます。画像編集ソフトで出来れば四角く切り取り、透過ファイルとして出力します。余分な部分をカットすることが出来れば、PDFなどの電子文書にも画像として挿入できます(Adobe Photoshopがあればベスト。スマートフォンやiPadでも一部使用可)。
タブレットに手書き署名を書いて画像出力する
iPadなどのタブレットを用意し、ペイントアプリを使って手書きでサインを書き、それを画像として出力すれば電子データ化することが出来ます。
具体的には、iPad、Apple Pencilとペイントソフト(ProCreateなどを使用。メモ帳でも可)を使います。メモ帳の場合でも写真の編集機能で切り抜きが可能です(背景からの対象物の抜き出し機能でPNG出力が可能)。
サインの電子データ化サービスを利用する
署名コムが提供している「サイン電子データ化」などのサービスを利用すれば手書きサインを高画質・高品質で電子データ化してくれます。
PNGデータで納品されるので、電子署名として使用できるのはもちろん、名刺やスタンプ、刻印、バッジなどグッズへの名入れといった利用も可能です。
手書き署名が求められる場合の電子契約
契約書によっては、手書き署名が求められる場合があります。手書き署名を依頼する場合の電子契約の手法としてAcrobat Signの機能を挙げておきます。
手書き署名とは、本人が手書きした氏名のことです。筆跡は人によって異なるために、証拠能力は記名よりも手書き署名の方が高いとされています。電子契約の場においては、手書き署名よりも電子サインが主流となってきていますが、団体や組織の規定などによって、手書き署名が必要とされる場合もあります。
Acrobat Signでは、手書き署名を画像として保存し、電子サインとして使う方法もありますが、紙に手書きした署名を使用することもできます。
Acrobat Signで手書き署名を依頼する方法
- 依頼者が「手書き」オプションを選択し、署名を依頼します
- 依頼メールが届くと、署名者は署名以外の場所を入力します。その後、記入した書類をダウンロードしてプリントします
- 署名者が手書きで署名します
- 署名者がスマートフォンなどで書類をスキャンしてデジタル化します(無料スマホアプリのAdobe Scanを使うと高品質のPDFが作成できます)
- 最初に届いた依頼メール内のリンクをクリックすると、ファイルをアップロードするためのウインドウが開きます。ファイルをアップロードして完了です
対面契約に適した手書き署名
手書き署名は商品受け取りやサービスの申し込みなど、相手方の承認の証としてのサインが必要なシーンに適しています。
- フィットネスクラブ入会の申し込み
- リフォームの申し込み
- セールス・窓口での対面契約
- 従業員向けの誓約書
- 売買契約や賃貸契約
- クレジットカードの利用
- 宅配便の受け取り
GMOサインでは、スマホやタブレット端末の画面上で手書き文字を署名することが出来ます。「GMOサイン対面契約」はGMOサインのオプションサービスとして利用できます。
GMOサインの通常機能に加えて、対面での契約・お申込みに便利な本人確認機能などをセットにしています。特殊な専用端末を購入せずとも、市販のタブレット端末上で使用できることから、コストや操作性に優れています。
他にも、クラウドサインNOW、WAN-SIgnも手書き電子サインの利用が可能です。
クラウドサインNOWは、クラウドサインが提供するサービスです。タブレットへの手書きサインを高精度で即時データ化することが出来ます。WAN-SignはGMOサインを基に作成された電子契約サービスで、手書き電子サイン機能が付いています。