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花押(サイン)の種類と作り方

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花押(サイン)の種類と作り方

花押(かおう)は平安時代から鎌倉時代に使われたものですが、今見てもとても美しいサインです。同じようなものを作ることはすぐには難しいですが、美しいと思った花押の良いところを取り入れて、自分だけの花押、サインを作るのも面白いですね。

花押とは

花押は書判(かきはん)のことです。印判に対していうので、押字(おうじ)ともいわれています。昔の文書によく見られますが、名前の字を草書体にくずしてサイン(自署)するものが多かったようです。そのころの文書は、たいてい秘書や祐筆という役目の人が書き、それにサインをしたのが花押です。

花押といえば、武家の専売特許のように思われますが、そうではありません。武将が勢力を得るにつれて広がったのは事実です。

花押は文字にとらわれず、好みによって花葉や鳥獣や器物などなんでもとりあげて作られました。花押といえば、文字の示す通り、花やかなものにするので、そうした気持ちがよく表れています。花押の種類と簡単な作り方を紹介します。

草名体

草名体の花押(サイン)

草名体(そうめいたい)は自分の名乗りを草書に崩して書いたものです。ちょっと読みにくいくらいに草体にしたものもあります。しかしよく見ると、ちゃんと草書として読めるけれど、その崩し方に趣向が凝らされています。

藤原冬信の花押は、藤原の代わりに役柄の権大納言と書いています。この草書体は現在でも見られるものです。

二合体

二合体の花押(サイン)

二合体(にごうたい)は名前を併せて一つにつくったものです。二字をとって適当に配合したもので、ちょうどアルファベットであらわすときに、氏名の頭文字2つ、または3つを組み合わせて1つの模様形にするのと同じです。

漢字でいえば麿、粂、杢などの字はもともと辞書にない字ですが、これは麻と呂とを合わせたものが麿といったように、今でも一字になって人名などに使われています。つまり二合の名残です。

一例として出したのは、出雲守となった石川数正と、蘭学創始者、杉田玄白の花押です。石川のものは数と正を組み合わせたもので、杉田のそれは玄白の二字を1つにまとめたものです。このような例は非常に多く見られました。横にまとめるか、縦につくるか、左右か上下かというのがその違いです。

ここまでくれば、署名というより創作といえます。どのようにして美的にするか、ということが作者の大きな関心となっています。書きやすく、しかも美的観念を読み取る人に持たせるというところに、苦心があるといえます。

二別体

二別体の花押(サイン)

二別体は名前の一字を押字にするものです。つまり一字は分かるように書き、残りの一字は二合体のような形にします。このとき分かるように書く字は名前の上の字を使うことになっています。源頼房の花押のように、名乗りの上の頼の字は分かります。

別用体

別用体の花押(サイン)

別用体は、形をべつに作るもので、それもなるべく花やかにします。実名を上に書くのが正式となっています。北条氏直のものを見ると。秀吉に小田原城を陥れられるまで、大いに武勇をならした人だけに、その花押も勇ましいものがあります。

対照的なのが文人としての小堀遠州で、茶道から和歌や絵画をよくした人だけに、風流人らしいところがあり、面白いです。麻生路郎氏は川柳の大家の一人として知られている現代人です。

明朝体

明朝体の花押(サイン)

明朝体は名前の字を使わず、上下に一画をおいて、このなかにいろいろな形を作ります。明の太祖が始めたという伝説があります。一例としてあげているものは徳川家康と足利義満のものです。足利時代には花押が盛んに使われました。この明朝の形式は、今の時代でもよくつかわれています。

平押

平押の花押(サイン)

平押は文字のないもので、簡単に自署したものです。昔は庶民階級でも下の者は遠慮して文字を書かず、そのかわりのものでサインをしました。

山内時氏のように、姓の一字を取った例は少なくありません。三好政康は魚つりが好きだったので、花押も水鳥と、水に縁のあるものを取ったのでしょう。土佐の城主だった山内一豊は、かしわの葉ですが、これは俗に土佐かしわといわれるもので、これを内の字に形づくってみせたものです。

相円のはいかにもお坊さんらしいサインで、名前にも似合っています。千利休にしても、技術を使っていないところがかえって情緒を出しているようです。

様々な花押を紹介しましたが、花押にはもう一つの側面があり、偽筆を防ぐ方法として、他人にマネが出来ないように工夫を凝らしたものです。それについては別の機会に紹介させていただきます。

参考文献:筆跡による性格診断

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